頂き物:『裸足で逃げる』

 太田出版の柴山さまから、以下の本をいただきました。
 上間陽子,2016 『裸足で逃げる:沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版)

http://www.ohtabooks.com/publish/2017/01/31163021.html

 いただいたその日の夜に読み始めて、読み終えることができず、泣きながら一気に読んでしまいました。
タイトルの通り、本書には十代の後半(半ば)から、夜の街で働かざるをえなくなった女性たちの生活史(個人史)が書かれています。それは上間さんが調査者/支援者として関わってこられた記録でもあります。
 本書の凄さについては、様々なところでいろいろな人が感想を書いておられます。特設サイトもあります。

http://www.ohtabooks.com/sp/hadashi/

 そこに私が月並みな感想を連ねても、という気がしてならないのですが、しかし、この本は登場する女性たち個々人の、2つとない生の記録であり、同時に、沖縄という地域において貧困であることを克明に描きだしています。そして本書を読み進めるうちに、おそらく読者は、彼女たちだけでなく、沖縄だけでなく、世界中にきっとこういう女性たちがいる、という確信を抱くに至ります。私は、個別的なものを対象にする調査は、それが見事に行われた時、個別的なものの個別性を詳細に描くことによって、普遍的な(時に抽象的な)ものまで描きだすと思っています。が、それをここまで見事にやられてしまうと、「すごい」も「やられた」もなく、ただ感動するのだな、と知りました。
 著者の上間さんとは、以前に雑誌『atプラス』の生活史特集号の打ち合わせをした時にお会いしました。その時、上間さんは用意してこられた原稿を研究会の席で読み上げられました(本書第1章「キャバ嬢になること」として収められています)。それはなんだか詩の朗読会のようでもあり、しかし紛れもなく調査の結果として生まれた文章の検討でもあり、とても不思議な時間でした。
 この本はルポルタージュのようであり、小説のようであり(とか言ってますが私は小説なんてほとんど読めません)、いやむしろ詩のようでもあり(とか言ってますが私は全く詩について知りません、ごめんなさい)、しかしやはり調査の記録なのです。このスタイルは誰にも真似できない、真似したらその人が恥ずかしい思いをするだけ、という気がします。
 そしてこの本は−こう言ってしまうととても陳腐で恥ずかしいのですが−愛を書いた本でもあります。母から子への、友人同士の間の、父から子への、男女の間の、そして何より、著者にして調査者である上間さんから、調査対象者にしておそらく友人でもある、本書に登場する女性たちへの。私が本書を読んで胸を打たれたのは、本書に溢れる、この愛の故だと思います(あー恥ずかしい!)
どうぞ、お手にとってご一読ください。

この記事を書いているだけで泣くわ。この本ちょっとおかしいんじゃないでしょうかね。

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